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東京高等裁判所 昭和30年(ラ)154号 決定

本件競売記録によれば、抗告人は、別紙目録記載(一)ないし(十四)の建物合計十四棟及び同建物に備え付けた機械器具(詳細を省略する)について競売の申立をなし、原裁判所は、これら建物及び機械器具について競売手続開始決定をなした後、鑑定人江本一枝に対し、右不動産及び機械器具について評価を命じたところ、右江本一枝は、現地について調査した結果、右建物のうち(一)、(二)、(五)、(七)及び(九)ないし(十二)の建物は、登録簿の記載と同一であるが、(三)の貯炭場(登記簿上の建坪八十五坪五合)は、実測建坪百三十六坪(四)の工場(同建坪三十坪四合五勺)は実測建坪二十五坪、(六)の工場(同建坪八十五坪一合五勺)は見当らず、(八)の乾燥場(同建坪五十五坪)は実測坪数八十二坪、(十三)の雨天干場(同建坪五十五坪)は実測坪数四十七坪五合、(十四)の雨天干場(同建坪五十坪)は実坪四十七坪であるとし、それぞれこれに基いて評価をなして原裁判所へ報告している。原裁判所は以上競売申立物件全部を一括して競売に付したのであるが、本件競売許可決定の基本となつた昭和二十九年十二月二十日及び昭和三十年三月二十三日の各競売期日の公告には、いずれも右(六)の建物もそのままに競売の目的たる建物として表示し、その他の建物についても、登記簿上の建坪のみを記載し、前記実測は全然記載していない。競売法第三十二条により競売手続に準用される民事訴訟法第六百五十八条が、競売期日の公告に不動産の表示を記載しなければならないとしたのは、これによつて競売の目的である不動産を特定し、その同一性を知らしめると同時に、公租公課、賃貸借の存否及びその内容の記載等と相まち、でき得る限り不動産の実情を告げて、多数の人々に競売手続に参加する機会を与え、また、これを信じて競売に参加した人々に対し、後日不測の損害を生ずることのないようにするためのものと解せられる。してみれば本件(六)の建物のように、競売開始決定に記載された建物が存在しないような場合には、もちろんこれを明白にしなければならないし、また登記簿上の建坪と実測坪数とが相違する場合においても、多少の相違があるに過ぎない場合は格別として、本件(三)及び(八)の建物のように、両者が著るしく相違する場合には、その同一性を認識させる上からも、また建物の実情を知らせるためにも、これを記載することを要するものといわなければならない。殊に前記鑑定人江本一枝の評価書によれば、本件競売建物の所在地には、競売の目的となつていない木造セメント瓦葺平家建事務所一棟建坪四十八坪が存在することが認められるから、競売期日の公告に、その実測を記載する必要は、本件においては、より一層大きいといわなければならない。

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